2025.03.26
今、求められる地域医療とは
病院の入院期間はますます短期化し、地域医療の重要性が高まっています。
近年、医療の現場では病院での入院期間が年々短くなる傾向が続いており、退院後は在宅や施設で療養を続ける患者さんが増えています。
特に高齢者の割合が一層高まる中、医療的な処置や介護を必要とするケースも少なくありません。
こうした状況において、病院と地域の医療・介護施設、さらには訪問看護など外部の医療機関との連携はこれまで以上に重要です。
それに伴い、病院外で活躍する医療スタッフの役割も広がっています。
では、地域医療の現場で働く看護師には、どのような役割とスキルが求められているのでしょうか？
〇多職種との連携力
医師、介護職、薬剤師、リハビリスタッフなどと協力し、患者さんの生活を支えるためのチーム医療を実践する力が不可欠です。
〇在宅医療への対応力
患者さんの自宅での医療処置や健康管理を行うため、迅速な判断力や柔軟な対応が求められます。
〇コミュニケーション力
患者さんやその家族に対して、わかりやすく病状やケア方法を説明し、不安を和らげる役割も担います。
地域医療はますます発展していくことが予測されます。その中で、地域に根ざした看護師の活躍が、患者さんの安心した生活を支える大きな力となるでしょう。
退院後のケアの重要性
病棟で働く看護師にとって、プライマリーナーシングは大きなやりがいを感じるケアの方法です。
これは、一人の看護師が患者さんの入院から退院まで一貫して担当することで、信頼関係を築きながら個別性の高いケアを提供するものです。
患者さんにとっても、安心感が生まれ、より質の高い医療を受けることにつながります。
しかし、看護師の役割は入院中のケアだけにとどまりません。患者さんが退院した後の生活も視野に入れる必要があります。
退院時には本来の健康を取り戻して病院を後にする方もいますが、中には退院後も医療的ケアや介護が必要な患者さんも少なくありません。
そうした場合に重要になるのが、退院支援・退院指導です。
退院指導では、患者さんやその家族に寄り添い、それぞれの生活状況に合ったケアプランを考えることが求められます。
場合によっては、地域のケアマネージャーや訪問看護ステーションと連携し、生活訓練施設、自立支援医療、介護サービスなどの社会資源を提案することもあります。
地域包括ケアシステムがさらに整備される中で、退院後も患者さんが住み慣れた場所で安心して暮らせる環境を整えることが、看護師の大切な役割です。
入院から退院、そしてその先の生活までを見据えたケアこそが、これからの看護に求められているのです。
訪問看護師の魅力
近年、医療の在り方が多様化する中で、在宅療養を選択する患者さんが増えています。それに伴い、訪問看護師のニーズも年々高まっています。
訪問看護師の仕事は、患者さんの自宅を訪れ、以下のような医療ケアや生活支援を行うことです。
〇健康状態の観察（バイタルチェックなど）
〇床ずれ（褥瘡）の予防・処置
〇排泄や入浴などの日常生活の介助
〇服薬管理や医療機器の操作支援
〇家族への介護指導や精神的サポート
特に、医療の専門知識がない家族にとって、定期的に訪れてくれる訪問看護師は大きな心の支えとなります。
患者さん本人の不安を和らげるだけでなく、介護を担う家族の負担を軽減する役割も担っています。
また、病院のように設備が整った環境ではなく、限られた医療資源の中で迅速に判断し、最善のケアを提供することが求められる訪問看護師。
だからこそ、これまで培った臨床経験や専門的なスキルをフルに発揮する場でもあります。
地域包括ケアシステムのさらなる強化が進む中で、訪問看護師は地域医療を支える重要な存在です。
患者さんが自宅で安心して暮らせるよう、医療・介護の橋渡し役として、これからもその役割は拡大していくでしょう。
専門知識を深めることが地域の患者さんのためになる
看護師にはさまざまな役割がありますが、その中でも専門看護師（CNS）や認定看護師（CN）は、特定の分野において高度な知識と技術を持ち、医療現場全体の質を向上させる重要な存在です。
これらの看護師は、病院内のケアの質を高めるだけでなく、地域医療にも大きな影響を与えます。
専門的な知識を持つことで、地域の患者さんやその家族に対して、より的確な指導やアドバイスができるようになるためです。
最近では、専門・認定看護師が中心となって、地域住民を対象にした健康講座や医療相談会を開催する病院も増えてきました。
特に、在宅療養をする患者さんが増えている今、こうした地域に根ざした活動はますます重要になっています。
また、医療現場では予防医療にも力を入れるようになり、地域住民が病気を未然に防ぐためのサポートをする機会も増えました。
その結果、看護師の活躍の場は従来の病棟内にとどまらず、在宅医療や地域活動などへと広がっています。
このような時代の中で、患者さんにより快適で健康的な生活を送ってもらうためには、看護師自身も常に学び続ける姿勢が求められます。
自分が目指す看護の分野を見つけ、専門性を高めることは、患者さんに寄り添った医療を提供するだけでなく、地域医療の発展にもつながるのです。
地域包括ケアがさらに強化される中で、専門・認定看護師は医療と地域をつなぐ架け橋となります。
これからも、知識と技術を磨き、地域医療に貢献する存在として、その役割はますます重要になるでしょう。
